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案がある。操舵性の悪い大型船では小型船に比べ、行き会い船、横切り船等の情報を必要とする。しかしながら、表示装置上に生映像を重畳表示するのは、海図と海上監視レーダー映像の位置的整合をとるのが難しい。現在の電子海図表示装置はこのような事態を考慮していない。

 

(7) 本船の表示装置に海上監視レーダーの映像を表示する場合、海上監視レーダー映像の座標系を船舶側に伝送する必要がある。

 

(8) 動画の場合、海上監視レーダーからの映像に固定マーカー、可変マーカー、方位カーソル、船首線等を本船中心に表示しないと船側の使い勝手が悪い。

 

(9) 船側では船舶レーダーの場合と同様に、海上監視レーダー映像(生動画像)の利得、或いは輝度を変更したい場合があるが、これには対応はできない。

 

以上(1)〜(9)を勘案すると、海上監視レーダーの生映像と人工合成映像を動画像として、船舶で利用するには実現に大きな困難を伴い、経済性を考慮すると船側のメリットはほとんど無い。本システムが、船舶側が現に保有する通信手段を利用したPC通信、FAX等で静止画像を提供して操船援助情報の提供を行うのであれば、経済性の面から見ても有望である。

 

2.2 海上保安庁の海上監視レーダー

海上保安庁が海上交通センター等で海上監視に使用している14GHz帯レーダーのデータ処理による監視範囲は約20kmである。

 

代表的な仕様を下記に示す。

周波数: 14GHz

送信尖頭電力: 40kW

パルス幅: O.1μs

繰返し周波数: 3000Hz

アンテナ回転: 10rpm

アンテナビーム幅: 水平:0.25deg.垂直:15deg.

 

ちなみに、14GHz帯レーダーの場合、データ処理済みの海上目標のデータ量は約16KBである。また、過去の経験によると、海岸線データを含む一画面分のデータを通信速度9.6kbpsで送信すると、約30秒弱必要である。船舶データとわずかな文字データのみの送信に限定すれば、4.8kbpsのデータ通信でも20秒以下で必要なデータの送信が可能であろう。

 

 

 

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